所々にインクが劣化した場所があるから、コピーにコピーを重ねたモノなのだろう。
その薄れた文字でも、幹部の怒りは充分に伝わってきた。
《ムカつきますわ。ムカつくムカつくムカつく!なんであんな…何もしてない子が…》
ムカつくという言葉がこんなに虚しく見える。
《だから―――これは命令ではなく、お願いです》
《水木愛莉への、制裁を》
「由宇、ビンゴ」
「え、マジに制裁スタート?こんな短期間で?」
「出会ってからの時間は関係ない、って感じじゃない?」
「え、言葉の使い方を間違ってるよ、晴菜」
カサリ、と乾いた音をたてながら、一枚目を二枚目の後ろに持ってくる。
《海翔様のためにならないことくらい、分かってます。だからこその、制裁です。私と同じ気持ちの人だけで良いわ》
《これは、水木愛莉への制裁であると同時に、海翔様への訴えです》
読み終わって、思ったことは、くだらないの一言に尽きる。
ファンクラブも、龍崎も、水木さんも、くだらない。
目先のことに目がくらんでる。