ビルとビルの間の狭く暗い闇の中にそれはいた。

変身した狐より一回りほど大きいだろうか、

白というより銀色に近い長い毛の獣だ。

銀の毛のところどころにクリスタルの粒がチラチラと光っている。


なるほど

チェイサーのマントと同じだ。


闇の中から琥珀色の目がこちらをうかがっている。


一頭?

いや、三頭か


「チェイサー、囲まれるぞ」

狐が毛を逆立てながら言った。


右側のずっと離れた所にも数頭いる。

遠巻きに一頭

また一頭

低い唸り声さえ聞こえてきた。


「矢を番えろ、チビ」

チェイサーが小声であたしに言った。