「んまぁ! 美咲、起きてちゃダメじゃない!」


甲高い声と共に女の人が病室に入って来た。


「うちのお母さん」

美咲ちゃんはうんざりしたようにため息をつくと、自分のベッドに戻った。


美咲ちゃんのお母さんはあたしに、愛想はいいけれど、どこかおざなりな挨拶をした。

まわりが見えなくなるタイプらしい。


お母さんはかいがいしく美咲ちゃんの世話をしながらも、ずっと小言を言い続けていた。


「ほら、ちゃんとお布団かけて。あなたって本当に落ち着きがないんだから。だから事故に遭ったりするのよ」


「車が勝手に突っ込んで来たのよ」

美咲ちゃんがブツブツ言っている。


確かに、子供をうんざりさせる親だ。



「まあ、遥。起きていて大丈夫なの?」


今度は、そう言いながうちのママが入って来た。