「…っ、」 ダメだ、ダメだ…! 唇をグッと噛みしめる。 ─言ってしまいたくなる。 噛みしめた口の端から血が流れる。 それでも、言葉だけは飲み込んだ。 ─言いたく、ないよ。 「…たし、だって─」 例え形は違っても。 例え、彼女がいなくても。