なんて説明をすれば良いのだろうか。
アキが突然可笑しくなりました、って言えたもんじゃない。
アキの傍により“大丈夫?”と言葉をかけるタカエさん。
やばい、アキ…じゃなくてサクコが何かを言う前に何かを説明しなければ。

「タカエさん、アキは…アキは…記憶喪失になってしまったんです!」
「何ですって?!」
「そのせいで…妙に女性らしくなってしまったんです。
自分の事をサクコと言うんです。
何度もお前はアキだと言い聞かせても無駄でした」

俺の言葉を聞いたタカエさんが、アキの姿をしたサクコに真実を聞き出す。
サクコは事情を察したらしいが、
さっきまでと変わらぬ態度でタカエさんに喋り出した。

「初めまして。妾はサクコと申します。そこの殿方…セイ様に恋をしていますの…!」

タカエさんはこれが自分の息子と信じられないらしく、アキを寝かせつけた。
俺は先生を呼んでくると言って病室を後にした。
俺だって信じたくないよ、タカエさん。

その後、アキの主治医は驚いていた。と言っても、俺は病室の外にいた。
だから壁越しに聞こえた声だけで判断をした。
確かにあんな状態のアキがピンピンしているから無理もない。