……え?お父さんの命日……?
だから元気なかったんだ。
「……ごめんなさい、私、無神経だったね」
「いや、気にすんな。俺の方こそ気を遣わせて悪かった」
まだ、窓の外をじっと見てる。
グランドからは、楽しい音楽と生徒のはしゃぐ声。
静まりかえる準備室。
「俺の親父、写真屋だったんだ。
このカメラは親父の形見。
毎年、学校祭の時期と命日がだいたい重なるんだよな」
私は、黙って後ろで聞いていた。
「俺が高1の時だった。
癌になってからあっという間に、な。
姉貴がその時高3で、俺と同じ高校だったんだ。
学校祭前日、準備していたらすぐ来いって連絡が来てさ。
2人で急いで病院へ行ったら、心臓マッサージされてた。
俺と姉貴が来るまで、先生が汗だくでマッサージしてたんだ。
お袋が『もういいです。ありがとうございました』って言って。
先生が手を放してすぐ、心電図がまっすぐになったよ。
あっけないものだな、人の死ってさ」



