先生観察日記


……あ

背中から、きゅっと抱きしめられた。

急にそんなことされると、びっくりだよ。

でも、はぐはぐされるの、小さい頃から大好きな私。

『彼』が『彼女』をはぐはぐするのって、多分当たり前なんだろうけれど。

まだ慣れない、その感覚に心臓がバクバクしていた。


「……先生、どしたの?」


「……そろそろ『先生』って呼ぶの、やめないか?」


耳元で響く声。


「え!? 嫌だった?」


「嫌、じゃない。

でも、いつまでも背徳感がつきまとうんだよな」


背徳感……?

私が『先生』って呼ぶたびに、教え子だったっていう事実をつきつけてた?

でもね。


「もし呼び方変えちゃったら、みんなの前でもうっかりそれを出しちゃうよ、私」


器用じゃないもん。


「教育実習中に、学校で間違えて名前呼んじゃったら困るでしょ?」


「名前、ちょっと呼ばれてみたかったなぁ。

……でも、あの最中に『先生』って呼ばれるのも、ある意味萌え、か」


おっしゃることの意味がよくわかりませんが、多分良からぬことを考えていらっしゃるのでは……?