先生らしい。
自信家で、何でも計画通りに進められて、どんな場合にも的確に対応できる、本当に頼れる人。
でもそれは、並外れた努力と苦労の賜物(たまもの)だっていうのは、最近知った事。
お父さんにも、きっとそれが伝わったんだね。
「そうそう、明日の件だけどね」
ドキッ!
「さすがに付き合ってすぐ彼の家にお泊まりデートっていうのはお父さんも複雑だろうから」
「そりゃそうだよ!」
「あとで、ちょっと打ち合わせするからね。
私とお母さんとで先生を送っていくことになってるの。
私が先生の車を運転するから、その時、ちょっと話し合うわ」
酒宴は10時でお開きになり、先生はお姉ちゃんに運転代行されて帰った。
帰り際、先生がこっそり囁いた。
「他の男との結婚式の招待状なんていらない。
そんな悲しい結末、お前の妄想小説にはふさわしくないだろ?
だからって、ネタにするなよ。
……これは、現実なんだから」
もう、読んでたの!?
「ちゃんとチェックしてる。
こう見えても全作品制覇している有難い読者だぞ」
「うん。
こんな大事なこと、ネタになんてできないよ。
ありがと、先生」
おやすみ、と言って、先生は家を出た。
心の奥があったかくなった。



