俺が帰ろうとしたその時。
「先生、明日はお休みですし、ちょっと父の晩酌のお相手をお願いできませんか?
ね、お父さん?」
いきなりですか、お姉さん!?
「ありがたいお話ですが、車で来ていますので……」
お断りしようとお姉さんの方を見ると……。
また黒いオーラを纏って微笑んでいた。
俺とお父さんとで、酒を酌み交わしていた時。
安西がリビングに来た。
おどおどと様子を探っていたようだが、酒の席になっていることに驚いている。
キッチンへ行き、お姉さんと何やら話している。
……照れくさいから、あまり詳しい説明はしないでいただきたいものだ。
お母さんは、酒も飲んでいないのにやたらと上機嫌で俺に絡んできた。
「先生、菫のどこに惚れました?」
さすが、安西のお母さん。
このご家族の辞書に『婉曲』という文字はないんだな……。



