俺が安西を京都に行かせたかった一番の理由は、実はこれだったりする。
もちろん、R大学は全国の私大でもトップレベルだし、古典の勉強にはもってこいだから、というのもあるが。
「これは、菫さんには内緒にして下さい。
まだ受験もしていませんし、学校事情で休業が認められない場合もあるので」
お母さんとお姉さんが頷いた。
……お父さんが、俺を見てやっと笑ってくれた。
「ご理解いただけたこと、心から感謝致します。
『悪い男』にならないように心がけます。
そして、私以外の『悪い男』の心配は無用です」
お父さんが声を上げて笑った。
「今日は本当にありがとうございました。
こんな時間ですので、そろそろ失礼します」



