先生観察日記


「ご両親にとっては、不安材料の多い男かも知れません。

私は既に29歳で、菫さんとは11歳離れています。

母子家庭で育ち、資産も何もありません。

ただ、菫さんのことを誰よりも幸せにするための努力は惜しみません。

これから先、離れて暮らすことにもなりますし、きっと数々の困難な出来事が待ち受けていると思います。

それでも、私にできる精一杯の誠意と愛情で乗り越えていくと誓います。

そして、いつか……菫さんが社会人になってから、また改めてご挨拶に伺えたらと思っています。

菫さんと、結婚を前提にお付き合いさせて下さい」


ずっと黙って聞いていたお父さんが、口を開いた。


「菫の人生を、まるごと変えた責任を取って下さい」


……どういう事だ!?


「お父さん、そんな言い方したら先生が可哀想でしょ」


お母さんが笑ってる。


「いや、事実だろう。

親元でぬくぬく育っていた世間知らずな娘が、京都の名門大学に合格した。

その上、こんなに立派な男に惚れてしまったらしい。

全部先生のせいです。

私には文句のつけようがない。

……責任を取って、娘を幸せにして下さい。

お願いします」