先生観察日記


もう、後戻りはできない。

ご両親、特にお父さんの顔を見ながら話す。


「今日、菫さんに私の気持ちを伝えました。

結婚を前提に付き合って欲しい、と。

菫さんも、在学中から私に好意を持っていたようで、受け入れてくれました」


お姉さんがお茶を運んでくれた。

俺だけにわかるようなウインクをひとつ。

……まだ、黒いオーラは出ていないな。


話を続ける。

「学籍上、3月31日まで、菫さんはうちの学校の生徒です。

私の立場上、昨日まではどんなに彼女から好意を寄せられても、それに応えることができませんでした」


卒業式の話をしようか迷った。

解っていながら、彼女の気持ちを無視してしまった。

大事な娘のことを一時でも冷たくあしらわれたら、親としては気分が悪いに決まってる。

その時、お姉さんから助け舟が。