「菫がR大学へ進路変更したのも、もとはと言えば、その先生のオススメなんでしょ?
それなら、保護者も説得してくれるはず」
「……だって、担任じゃないよ」
「菫の担任、全然頼りにならないよ」
お姉ちゃんの時代からいた、うちのおじいちゃん先生。
やっぱりダメかぁ。
「今はお正月だから学校も閉まってるでしょ。
その先生の連絡先、知ってる?」
「うん、一応……」
先生と最初に出会った時、赤外線で送ってもらったから、携帯の番号とメアドは登録されている。
でも、一度も使ったことはなかった。
「善は急げ!
うじうじ考えてる暇があったら、勉強しなくちゃ!
今夜中に連絡すること。
それが一番確実な説得方法だとお姉ちゃんは思うな」
「そうかな?」
「うん。お姉ちゃんも味方になってあげるから、頑張りなさい」
「ありがと、お姉ちゃん」
お姉ちゃんが部屋から出て行った後、携帯を開いてしばし考えこむ。
ダルメシアンのストラップを見ていたら、メールする勇気が湧いてきた。



