「菫はとっても頑張ってるんだもんね。
お姉ちゃん、こんなに頑張りやさんの菫を初めて見たよ」
私の部屋で、慰めてくれる優しいお姉ちゃん。
子どもの頃から、よくこうやって話を聞いてくれたっけ。
お母さんに叱られた時。
私の言い分をいつも優しく聞いてくれた。
でも悪いところは悪いってはっきり言って、反省を促すの。
お姉ちゃんは、私の味方になってくれる?
今までのことを話した。
最初は散々な成績だったこと。
だけど、松本先生が面倒を見てくれるようになって、どんどん成績が上がったこと。
受験勉強は辛いけど、勉強そのものの面白さが解り始めてきたこと。
国文学、特に平安時代の女流文学を本気で勉強するなら、R大学の日文の方が、F女子の国文より好条件であること。
ここでその夢を諦めたら、今まで何のために頑張ってきたかわからない。
先生にも、何て言えばいいかわからない、と。
先生のことを好きになった私の気持ちは、もちろん隠したまま。



