帰りの車の中。
私は一言も話さなかった。
もう、いい。
今日からは勉強しない。
勉強しなくても、今の私だったらF女子は楽勝。
冬休みも、裕香と一緒に遊ぶんだもん。
きっと、楽しい冬休みになる。
今まで遊べなかった分、取り返そう。
……でも、今まであんなに一生懸命教えてくれた先生に、何て言えばいいのかな……。
先生、ごめんなさい……。
先生の事を考えたら、涙が出た。
落ちこぼれの私に、やる気を出させてくれた。
先生から期待されて、頑張ったからここまで成績も伸びたのに。
バレンタインのプレゼント、あげる前に壊れちゃったよ……。
後から後から涙が出てきて、止まらない。
ついには、ちっちゃい子どもの頃のように、しゃくりあげて泣いていた。
それまで、一言も口を挟まなかったお姉ちゃんが、優しく言った。
「後で、話を聞かせて」



