「たとえ相手にも過失があったとしても、怪我をさせてしまったら管理職に報告して、上から処分が下るのを覚悟しなくちゃならない。
これも『信用失墜行為』だからな」
出た、信用失墜行為。
バックミラーに映る先生の顔をちらりと見たら、先生も私を見ていた。
「30キロ以上スピード違反した時なんかに出される『赤キップ』をおまわりさんにきられた時も、管理職に報告して処分を受けるんだ。
大抵、減給数ヶ月ってところだろうけど、これが後々大きく響く。
処分を受けたら、ボーナスが減って昇給がストップするから、生涯賃金が百万単位で変わったりするらしいぞ、安西!」
「へ? 何ですか?」
いきなり話をこっちに振られて、びっくりした。
「……もしかしたら、ネタ集めはもういいのか?」
「え? なになに?
菫、何のネタ?」
まずい。
携帯小説を書いていることは、未だに先生以外にはしゃべってない。
親友の裕香にも言わないのは、読まれると自分の内面がさらけ出されるようで恥ずかしいから。
答えに詰まっている私の様子を察知して、先生が言った。
「志望理由書のネタ。安西、教員に興味があるって、前言ってたんだよ」



