精霊達の棲家

顔面神経にも障害が残り、前述の他口許や口腔の引き攣りも四週目頃には、目敏く感じるほどではなくなった。
目の不具合は後に歩行障害に多大に影響を及ぼし、結果的にリハビリの要諦ともなる。
視点が正面から外れ左右に移動すると複視となり、目で視点を追うと目ん玉(眼球)が追随不能。
壁の模様がアメーバの様に拡がり、中で微生物が蠢く、といった感覚である。
紙面の文字や絵柄を見ると、そのものが上下左右に振れ、追うのが苦痛で苛つく。
ベッドで仰向けに寝ていると、窓のカーテンが風もないのに揺れ、レールを滑る。
板材の床や壁に十円玉程度の節があると、眼の錯覚によっては節がゴキブリに見え素早く動く。
錯覚・幻覚症状に似た現象、オカルト映画そのものである。
左手の感度が悪い、OTに従い腕・関節・肘・掌・指の訓練を日々繰り返した。