精霊達の棲家

彼女は多少躊躇しながらも快く教えてくれた。
「私に聞いたと言わないでね」
「基本通りじゃないと思うけど・・」
と悪戯っぽく笑みを浮かべながら、ベッドに腰かけた状態から二通りの動作を始めた。
それに倣ってへっぴり腰の私がやってみるが、即できる筈がない。
O女史 手を執り足を執り、すり足、腰の位置・移動、間隔、手の添え方、位置取り、身体の移動、座位確保の一連の動作を(健常者なら当然の如く)苦も無くこなす。
障害となる動作は一切ない。
一つ目はベッドから移動する際、上体を屈めたまま右手を車椅子の右肘掛けに置き、左手をベッド手摺を掴む。
そのまま体を支え水平移動、何ら逡巡はない。
二つ目は予め車椅子をベッドに直角に置きロック、前屈で身体を反転する。
両手をそれぞれの肘掛けに沿えそのまま後方に水平移動。
それだけのことである。
後者は負担も少なく、現段階では最も容易いが外見余りに無様。
常態化には不適。