それが一瞬にして不能となる。
脳のフィードバックかフィードフォードが機能不全に陥ったのか、或いは誤った情報伝達に因るものか。
思考は全く繫がらない否繋がる筈がない。
支離滅裂のまま兎に角現状を受け入れるしかない。
このまま一生立てないのでは、と不安に駆られたのも事実である。
日々リハビリを繰り返し徐々にではあるが動作が落ち着いてきた。
つんのめるのは三回に一回位から五・六回に一回程度まで改善されてきた。
ここから車椅子への行程を考えると果てしなく遠く、先が見えない。
二週間が経過した頃、その日の当直は好感度抜群のO看護師であった。
「いろんな患者を看てきたと思うが、どんな移乗の仕方が多いかなー」
「裏技・応用編で頼む」
と、さり気なく訊いてみた。
本来 看護師の領域ではないらしい、以前に別の看護師に訊ねたところ
「療法士に訊いて下さい」
とのこと。