精霊達の棲家

六日目嚥下訓練が本格的に始まった。
ST O氏の表情が変わった。
訓練メニュー・スケジュール・嚥下食等について説明があった。
余談になるがO氏は小柄で愛くるしい女性だが、メリハリの利いた療法指導は好感が持てる。
とろみ水の呑込み訓練の繰り返し、顎を引いてゴックンである。
健常時には当たり前のこの動作が、何故これほど集中せねば喉を通らぬのか歯痒い。
集中力が途切れると咳き込む。
合図に合わせてゴックン、ゴックンの繰り返しである。
S氏のリハビリは前日に引き続き、ベッドに座る訓練である。
40分間特にバランス感覚の意識付けを助勢させる事を基本にした動作を組み合わせながら、訓練を繰り返す。
成る程、徐々に‘尻の座り’が少し良くなったかな、と思える程度の安定感を実感した。
即ゴロンと倒れる前に、座位を維持しようとする意識が強く働き、ぐら付きながらも十数秒から数十秒は維持できるまでになった。
状況が多少でも改善されてくればモチベーションも上がる。