壁や天井を凝視すると、部分的にアメーバ様の滲みが弛張・伸展する。
比較的近く文字や図柄に視点を合わせると、小刻みにブレ 目が チカ チカ と苛つく。
自分の体の中で一体何が起きたのか、そしてこれからどうなるのか皆目見当さえつかない。
目を閉じ仰向きの姿勢のまま、日がな一日無為の時が流れる。
医師の巡回があり、体調や自覚症状を伝えた。
女房そして看護師や助手から聞き及んでいた夜間の顛末について詫びを入れると、
「知覚に障害があれば、必然的に起こる」
「私にもし同じ事が起これば、やはり喚いたり騒いだりと思う」
と、特に気にする風でもなく、笑って聞き流していた。
症状については、
「この病 焦りは禁物、何れにしても長期戦になる」
「長嶋監督の例を見れば想像がつくでしょう、忍耐と人並みを以上の努力で3年だよ」