精霊達の棲家

手をかざして薄眼を開けると、それは懐中電灯の光の束である。
光を翳すその手の先に、夜叉面と思しき形相が眼光鋭くこちらを睨みつけていた。
「ここは病院よ ‼ 大きな声で、迷惑でしょう ! 」
「いい加減にしなさいよ!! 」
それは恐ろしげな白衣の天使であった。
小声ながらその凄まじい剣幕に圧倒される。
再び錯乱状態のるつぼへ。
6月5日、救急車で運ばれたその日、一晩中大声で叫んでいたそうである。

そこは街の病院・理容店・レストランであったり、はたまたコンビニであったり。
何故か店の入口付近、その片隅にベットが置かれ身動きが出来ぬまま横たわっていた。
両手は手錠の様な手袋で自由を奪われている。
昼間はひねもす夢の中を彷徨っていた。
そして場面の多くは、師長・看護師・チーフ・リーダー・マネージャー・パーサーといった責任を担務する立場の人物との議論である。
議論は常に噛み合わず、暫らくの後その人物は決められた様に立ち去る。