精霊達の棲家

翌朝下の階の天井には汚れた水が床板の隙間から浸み込み、何箇所かにアメーバー様の染みが拡がっていた。
今度はF女史の番、
「またお前達か!!」
殴られはしなかったが朝から皆の前で叱責罵倒され、その執拗さは何時もの事ながら他に比類を見ない。
当時モンスターペアレントと称する妖怪は時世柄あまり見当たらなかったが、何人かは学校にプレッシャーをかけていたようである。
当日は一日中廊下で正座、罰として一週間厠(かわや)の掃除が命じられた。
翌日お袋が呼び出され、再び滾滾(こんこん)と説教。
もう何度目か、数えれば片手では足りぬ。
一歳違いの姉にも波及先生からの叱咤が飛火し
「何で私が、友達にも言われた! 」
「もう嫌や!」
と、きついお達し。
何度目かな、馬耳東風を決め込む。
いつもはその都度の「その事」ではあまり叱られなかったが、その日のお袋は少々違った。
この種の事では泪を見せた事はなかったが、明らかに涙を泛べていた。
「ええ加減にしいや」
と一言、その言葉の裏に何が秘められていたのだろうか。