精霊達の棲家

親父は翌日夜何事も無かったかの如く帰宅、お袋は多くを語らずその事を責めはしなかった。

何時の頃からだったろうか、小学校入学前から小学高学年まで続いたと思うが、姉二人と時によっては兄貴も加わり、お袋の膝の争奪戦が繰り返された。
戦後の混乱と復興期である。
疎開前の住吉区一帯は焼け野原、疎開地から戻ったのは東住吉区。
今でいうテラスハウス風の長屋で焼け残りを修復したものである。
姉やのハルさんも故郷の奈良桜井へ戻っていた。
親父も復員、終戦後暫らく巣鴨プリズンに関わり不在時期があったが、約3年後拘束は解かれていた。
妹も1歳を過ぎ漸くにして‘家族’の姿が見えてきた。
「姉ちゃんズルイ、今度僕の番や!!」
「さっき長かったから一回抜きや」
「ちゃう、チャウ! 順番は順番や!!」
と、例によって言い争いが始まる。