霞みが織りなす様に層となり、互いに重なり帯状の光芒を放っていた。
水平線とも地平線とも区別のつかぬ輝線は下から上にかけて濃淡を配し、漆黒とのグラデーションは滲んだ赤みを帯びている。
靄の彼方から鋭く短い閃光がチカチカと頻繁に奔る、新たな精霊達の葬送のシグナルだろう。
光芒はオレンジ色で弱いが、瞬時鮮やかさを増す。
その もの哀しく妖し気な神秘さに、暫し我を忘れ空白の時が流れた。
実体のない川面に足を踏み入れると、精霊達の煩悩が生と死の狭間で漂い、生温かく極度
に湿潤な感触が足を包み込む。
恐る恐る渡り始めたが踏み入れた足がズブズブと沈み込み、前進は極めて困難であった。
足踏み状態を繰り返し匍匐も試みたが、悪戦苦闘・無為生滅の時が流れる。