精霊達の棲家

よく見ると確かに瞼は薄眼を開け、その隙間から微かに反射した照明の光が、キラッと光った。
ユキナは微かに開いた瞼を、シュンはその眼がしらの窪みに浸み出したのであろう僅かな泪の粒を目敏く見つけたのである。
女房とミノリは大きな声で叫んだ。
「生きている!! 生きている!! ・・」
何度も叫んだ。  
あの賽の河原に現れた道祖神は、やはりお袋の化身だったのか。

我が身はテラスの椅子に恰も縛り付けられた様に、身動き出来ぬ状態であったが、意識は比較的はっきりしている。
「此のままでいれば多分2~3日後発見され、死はその前に訪れていよう・・」
そして
「あれもこれも、遣り遺した事。女房・子供達・4人の孫達・・、せめてユキナの花嫁姿だけは、」
「此の儘死ぬわけにはいかぬ、生きてこそ思いも叶う」
「生きていたい!」
上体を前後左右に振った。