3年前、周辺疎らに自生していたものを移植したものであるが、斜面約20㍍直線状一列に咲き誇る。
思えばこの花は誠に不思議な花である、秋口の草刈りを終えると間も無く花茎が先を競ってにょきにょき伸び出し、次々と花を咲かせるのである。
最盛期には帯状の赤紅が、刈り取った草の間に盛り上がって散りばめられる。
少し離れて観ると、尚一層鮮やかな風情を醸し出している。
葉は花が咲き終わるのを待ちかねて一斉に伸び始め、殆どの野草が枯れ殺伐とした冬の情景の中に、自らの存在を際立たせるような'緑'を息衝かせる。
彼岸花が終わる頃、市井にも此処里山にも香しく漂ってくる金木犀そして柊木犀が、アロマセラピーの空間に誘ってくれる。
当地の秋の恵みは、自然薯・アケビ・山栗・山グミ・杏・葛根・茸等数種に限られる。
晩秋から冬、落葉樹が漸く葉を落とす。
これからの数ヶ月、温暖なこの地でも自然の営みの中で静かに春を待つ。