精霊達の棲家

鴨川の病院から搬送され木更津の葬儀場へ到着したのは午前10時近くであった。       
一頻りの時が流れ会食、それぞれに想い出話や語り草で座が賑わっているようだ。
暫くの後ざわめきが収まったが、再び人の気配がした、出棺の準備に入ったらしい。
押並べて囁くような人声と椅子をずらす音、什器等の擦り音等が入り交じっている。
棺の上蓋が静かに開けられた。
勿論光を感ずる筈もないが、気配で様子が感じ取れる。
顔の周囲を中心に次々と花が差し入れられている。
嗚咽・すすり泣き・慟哭・女房の叫びに近い号泣。
「俺は生きている・・・、誰か気付いてくれ !! 」、とはいえ身体は微動だにしない、頭・手・足・目・口・鼻総てが他人の骸の如くである。
顔も目許を残し花で埋まったようだ
「愈々これで永遠のお別離れか、ア ア ・・蓋を閉めるな!、誰か早く気付いてくれ!!」
、心で何度も何度も叫びそして1年半前に他界しているお袋に縋った。