全員が一堂に会する唯一の機会でもある。
当初移動は全て車椅子であるが、車椅子は歩行のための通過点でしかない。
車椅子~椅子、車椅子~立位、リハビリは同時に進行する。
立つ・歩く、ただこれだけの事がこんなにも難儀で悩み・苛立ち、叶わぬ思いに苛まれる。
安定して立つ、病棟でS氏ともども議論も度々、練習を積み重ねてきた集大成を迎える時だ。
そして社会復帰いや先ず家庭復帰へのプロローグでもある。
8月を迎える頃二足歩行の条件がほぼ整い、本格的な訓練開始である。
脳幹梗塞により身体の中枢が麻痺し、歩行に関する神経が壊死、センサー・フィードバック・伝達物質等の相関・相対関係が崩壊した。
重心の移動・地面からの反力・歩容(歩く様態)・速度・加速度・動体回転運動等の情報収集・伝達・解析・処理・指示・伝達のプロセスを一瞬の内に行い、瞬時の変化に対応する。