精霊達の棲家

意識ははっきりしている。
瞼は閉じたままだが、瞼を透してそこは漆黒の闇の中であることは容易に察知することができる。
身体は頭のてっぺんから手足の指先まで、ほとんど動かない。
ざわめきが手に取るように聞こえてくる。
足音・話し声・所作がからむ物音・運搬の音、最も伝わってくるのはそれぞれの話し声。事務的な聞き覚えのない乾燥した感の声は葬儀社の人達か、囁きに似た声・涙声・溜め息・抑揚の乏しい声・幼子の喚声も聞こえる。
殆どが聞き覚えのある声だ。
以前から自身の葬儀は家族葬で !! と、普段から家族或いは親戚等に喧伝してあり、現に一昨年1月、亡くなったお袋の葬儀(自身は癌手術後退院直後で馳せ参じる事は出来なかったが)も極内輪の家族葬とした経過もある。
宗教色皆無の我が家では、最も相応しいセレモニーである。
一頻りの喧騒が終わり、潮が引くように静寂さに包まれていった。
ほぼ準備が終わったようである。人の気配さえない。