2010年6月5日その時、我が人生の終焉を予期した。 
此岸の‘賽の河原’は夜光虫に似た青白くごく弱い光に包まれている。
広大な空間であることは察知できるが先は見通せず、其処が何処で何故そこに居るの
かさえ解らない。
河原の石が積まれた小さな塔 いや 塔らしき2~3個の石積が、到る所に散在する。
その先に‘三瀬川’、低周波音が微かに響く、恰も波長を合わせるかの様に霧状の靄
が、穏やかにゆったり流れていた。
靄に紛れて見え隠れする‘三つの瀬’、それぞれが異なった緩急を擁している。
先人の話では生前の“業“により、渡るところが違うという。
川のほとりをさ迷い、行きつ戻りつそして戸惑い茫然と河原に佇んでいた。
彼岸‘黄泉の国’は 淡く緋に近いオレンジ色に霞んでいる。