「あー、もういい。糞ババァーッ。」

 家の中に怒号が響く。

「なっ、誰に向かって糞ババァなんて言ってんの。」

 階段下から女が叫び、また家の中に響く。

「ババァにババァって言って、何が悪いのよ。」

 むしゃくしゃしながら、階段を駆け上がりながら答える。

「ちょっと頭冷やしなさい。ねぇ、聞いてるの、美咲(ミサキ)。いい加減にしなさいよ。」

 その声を無視して、自室へと閉じこもった。