結局、朝まで、目は閉じずにいた。
眠気をどうにかしようと頭を振ってみてもどうにもならず、集中力の無いまま、いつの間にか休み時間になっていた。
そして夢の事を思い出す。
声は、こう言っていた。
「落とした事にも気づかないで。
とにかくもう、拾っちゃ駄目だよ」
俺は何を、落としたと言うんだろうか。
そしてあれは、誰の声?
確かにあれは、聞き覚えのある声。
だけど今日も昨日も、聞いていないような……。
誰だったっけ?
寝不足の頭で、机につっぷしたまま、
声の主を思い出そうとしていると、
頭上から声が降ってきた。
「あれ?入野って、
そんなに色、白かった?」
不思議そうに尋ねる声は、萩原の物だ。
俺も顔を上げ、捲った袖から覗く、彼の見ている、俺自身の腕を見た。



