一歩後ずさると、
斜め前から視線を感じた。
ゾッとさせるそれは、
見てみれば、10代中頃の、少女の物だった。
線路から少し離れた場所に身を投げ出すように、横になっている。
彼女に残る片腕は、
ここ数日、見慣れた白さで。
そして少女は口を開いた。
「拾ってよ!!」
俺を見る顔は、睨みつける物だけれど、
涙声で、掠れていて。
さっきまでなら、俺は、
迷わずまたしゃがみこんだだろう。
だけれど今は、迷っていた。
声が、また聞こえたからだ。
そして逡巡している間に、目が覚めた。
室内はまだ暗く、
時計を確認してみても、まだ夜。
もう一度眠る気には、なれなかった。



