見えないモノと、指の銃。



頭の中に湧いて出るのは、誰かの思い出。

その中で見える自分は、白い手足をしていて、隣を歩く人と手を繋いでいる。

大きな手が伸びてきて、それが私の頭を撫でる。
その手はとても温かくて、これさえあればいいと思った。

愛しい人が何かを言う。
声は聞こえなかったけど、何て言ったかなんてすぐに分かった。

『帰ろう』

私は笑って頷いて、繋いだままの手を、また握り直した。

そしてそのまま歩いていく。
早く帰ろう?
だってもうすぐ、日が暮れちゃう。


日が?

……今は、朝だ。

ハッと気づくと、周りの風景はいつもと同じ。

俺は今、何を見ていた?