黒い塊に切れ目ができ、
俺を飲み込もうと口を広げる。
それが伸びてきて、視界は真っ暗。
頬に何かが当たる。
それは自分の物でならよく味わう感触で、
この黒い塊は、恐らく、髪の毛で出来ているんだろう。
少なくとも外側は。
チクチク刺さるそれが首まで落ちてきた時、どこからか物音が聞こえてきた。
そこで俺を飲み込む動きが止まり、
一瞬後、そのまま引き抜かれた。
もしかして、三枝か?
そう思って顔を上げた。
だけどそこに立っていたのは、椅子を持った萩原で。
さっきの物音は、彼が物置から出てきた音だったのだろうと思った。
あの物置、開ける時に結構な騒音を出すから。
そして恐らくその椅子で、
この黒い奴を殴りでもしたんだろう。
前を見れば、
さっきまで俺を見ていた目は、
今度は萩原へと向けられていた。
視線を浴びている本人はと言えば、
顔を引き攣らせ、俺に尋ねてくる。
「……どうしよう?」
そんな事聞かれても、困る。



