『バン』と、声には出さずに 後輩は口の動きだけで言った。 その言葉に沿うように、 見えない何かが、俺の胸にぶつかった。 何も無い、はずなのに。 確かな衝撃がそこにはあって、 一瞬、息が詰まる。 しかしすぐにそれは消えて、 代わりに、感じていた体のだるさが 何故だか消え去っていた。 「ね? 殺せたでしょう?」 そう言って後輩は、ニヤリと笑った。 彼は一体、俺の何を殺したと言うんだ?