小さい頃から、弟は俺の後ろをついて回った。
昔、まだ小学校にも入る前。
その頃はよかった。
1つ上の俺の方が、体力があって。
あの頃は、何でもできる気がした。
『兄ちゃんすごいね!』って、
キラキラした目でそう言われるのが嬉しかった。
そう、同じなんだ。
今でもアイツは、同じ目で俺を見る。
もう自分より優れてる所なんか、1つもなくても。
絶対的な信頼と、尊敬の眼差しを含んで。
それが怖い。
八紀も、秀明さんも、
何かを期待して、俺を見るのか?
小さい頃や、前世なんて持ち出されても、
そんなのは今の俺には欠片も残っていない。
少なくとも、俺自身はそう感じている。
あの中に希望やなんかの明るい物はあっても、侮蔑なんて含まれていなかった。
分かった、認めるよ。
認めてやるよ。だけど、
「今更認めて、それでどうなる?
何をする事も出来ないし、
それに俺はもう死んでるんだろ?」
笑みを含んで、三枝は言う。
「先輩だって、八紀の事嫌ってないですよね?」
確かめるようにそう聞いてきた。
そうだよ、ただの八つ当たり。
全部お前の言う通りだ。
それがどうした。



