2つの意味で頭を抱える俺を余所に、
三枝は話を続けた。
「鏡やガラス、何でもいいんです。
最近、自分の顔を見た記憶、無いでしょう?他にも……」
‘家族と話した記憶とか’
そう言われて脳裏に浮かんだのは、
朝、起きて、次は外を歩いている。
そして学校で過ごして、帰宅して、寝る。
三枝や、学校で会う人と話した覚えはある。
だけど、家では……
自分の顔も、確かに。
この家でガラスに映った物も、
すべて斜めからしか見ていない。
そこに俺は居なかった。
「ご両親と最後に会った事を憶えているの、いつですか?昨日まで、ちゃんと家にいたでしょう?」
そう問われるが、玄関を通った後、部屋に入るまで。
その間の記憶がすっぽりと抜け落ちている。
何で?どうしてだ?
「それじゃあ、
弟さんの顔は憶えていますか?」
これも同じく、
夢以外で最近見た記憶は無い。
だけど顔はちゃんと憶えている。
忘れる訳が無いだろう。
もちろんだと答えると、三枝はにこりと笑った。
「じゃ、鏡、見てみましょうか」
そう言って、置いていた鏡をこちらへと向ける。
そこに映っていたのは



