見えないモノと、指の銃。


頭を押さえて座り込んでいると、
三枝が聞いてきた。

「鏡は見ましたか?」

「見てねえよ」

そこまで気にする事だろうか。

俺が鏡を見たかどうか、見るかどうか。
それを何回も聞く必要はあるのか?


「ああ……増えちゃいましたね」

何が?そう思った事で、また増えたんだろう。
彼の目が俺の斜め上からさらに横へ視線を動かした。

それは恐らく‘疑問’だろう。

「撃ちましょうか。
それとも……そろそろ思い出しますか?」

何、を?何を思い出せと言うんだ。

ただでさえ、今は頭が回らない。

だけどこの質問には、
まともな時でも答えられないだろう。

何を問われているのか見当もつかない。
頭のどこかで、考える事を拒否している。

俺は一体、何を忘れている?

いつかに言われた、不必要な勇気?

それは一体?