見えないモノと、指の銃。



電車に乗り換えると、また話が再開された。


「どうして追い返せる鏡が1つかというと
女の子どもを奪った時に、
子どもを戸棚に隠し、その横に鏡を置いて
床だけを映し出すようにして、
『子どもは居ない、帰れ』って
そうやって追い返したらしいんです。

その時に使われた鏡というのが、
今にも壊れそうな鏡なんです。
だからソレが最後の砦という訳なんですね」


さらに付け足すと、
女の子どもを奪った訳は、跡取り問題だったらしい。

秀明さんも詳しくは知らないけれど、
その頃加々美家には子供が居なかったそうだ。


「つまり、はとこにも俺にも、
女とその子どもの血が流れてるって事なんですよね。

だから家の者を連れて行くなら、
まだ少しは納得もしますよ。

だけどあの子は、
家とは何の関係もありません」

絶対、連れて行かせたくない。


真面目な顔でそう呟く彼の目は、
今日まで俺に向けられていた物とは違っていて、それで何故彼が苦手なのか理由が解った。

言動もそうだけど、似ているんだ。
さっき夢で見たばかりの、弟が俺を見る目と。