……何かされる気配も無いし、
相手はただ単に悩んでいるだけみたいだ。
立ち去っても、いいよな?
植込みの方を見据えたまま、
俺はゆっくりと後ろへ下がってみた。
かげぐち君が腕を組み、うなっているのが、まだ確認できる。
さらに、1歩。
また1歩。
遊歩道が見えなくなっても、
やっぱり何かされる様子は無い。
ただ、悩んでいる声が聞こえるだけだ。
よし、大丈夫だな。
走って戻ろうと踵を返した途端、何かにぶつかった。
「――っ、」
「ゴメン、母さん、大丈夫ですか?!」
タイミングが最悪すぎる。
本当、今日の俺は運が悪そうだ。
俺を心配する加々美さん。
そして、後ろからはまだ、かげぐち君の声がする。



