「必死になって勉強して入った学校にさー
弟に簡単に合格されちゃってるしねー」
心っていうより、頭の中を覗かれてる気がする。
さっきの俺たちの様子を伺っていたなら、
加々美さんの事なんかは見れば分かる事だ。
だけど、弟の方が俺よりも出来がいいとか、そんな事は今分かる筈がない。
そして俺のコンプレックスを的確に突いてきやがる。
友達も知らないような事や、
俺だけにしか知り得ない事とか、
かげぐち君は喋り続ける。
「いらないって自分で知ってるのにねー
だったら前世の方の家族でも大事にすればいいのにねー」
いや、それはお断りだ。
頭に上りかけていた物が、そこで一気に覚めた。
ある意味ありがとう、加々美さん。
さあ三枝を呼びに行こう。
1歩下がったそこに、石だろうか、
足に何かが引っかかり、ガクッと膝が落ちる。
自分のタイミングの悪さにがっかりしつつ
バランスを崩した体を持ち直そうと、無意識に手が伸びる。
飛び込んだそこは、……植込みの上。
向こう側に立っていた誰かは、こちらを振り向いた。
そこにいたのは、濃い灰色一色の、小さな人型。まさに影そのもの。
頭の形をした場所には、
大きめの口が、1つだけ。
他のパーツは見当たらない。
なるほど、かげぐち君。
馬鹿らしい程に納得してしまった。



