何もある訳が無い。 そう思っていたのに、 気が付くと何故だか、あの建築現場に立っていた。 「先輩、どうしたんですか?」 不思議そうにする後輩曰く、 校舎を出た途端に俺は、 ふらふらとここへ向かっていたらしい。 道中、話しかけても返答せず、 心配になった彼は追いかけて来たそうだ。 寝ぼけてたんだ。 昨日あんまり寝てないし。 そう言い訳して、帰った。 はずだった。 「先輩……」 案ずるようなその声で、 ハッと顔を上げると、 そこはまだ建築現場だった。 本当に、どうして。