小走りになり始めると、女もスピードを上げてついてくる。
俺に合わせているんだろうか。
振り向きながら走っていると、
スーッと滑るように移動してる事を知った。
そりゃ、足音しない訳だ。
どうせなら、夢のイメージのままならよかったのに。
それなら、相手はヒールだし、顔無いし、
俺はスニーカーだし、割と足は速いし。
逃げ切れない事もなさそうだったのに。
恨むぞ、おい、三枝。
浮いて移動するんなら、
どんだけでも速くなれるんじゃないか?
逃げ切るなんて、できないんじゃないか?
そんな事を考えてしまったら、
次の瞬間には、足元が暗くなっていた。
自分の影で、じゃない。
俺の頭の上で、女は笑っていた。



