見えないモノと、指の銃。


「顔、無かったんでしょう?」

夢で見た、女の顔。

「ああ。でもそれがどうした?」


「女の存在が、先輩の言う所の妄想の産物だとして。
そうすると、彼女の顔だって、
見る側が想像した物になると思うんですよ。
それは多分、ホラー映画とかの幽霊の顔とか、記憶の中にある、それっぽい顔を。

そこを想像すらしていない、
だから顔が無かった。

想像をしてみない程、
信じていない、というか考えていない。
そんな感じじゃないですか?」

女の顔を想像。
確かにした覚えが無い。

それはきっと、
動画を見た直後に怒られたり、
メールをどうにか消せないか必死になっていた所為もあるだろう。

何故なら今、
そう言われると、想像してしまったからだ。

まさにホラーでよくある、
重く濡れたような質感の長い黒髪で、髪の隙間から目が覗いてる。
そんな女を。


「……また夢に見たらどうすんだよ」

顔が無いんだから、今日また見たら、
今度は目が無いから、前が見えなくて女は転ぶ。そして逃げ切れる。
そんな事を考えればどうにかならないかと思ったのに。


「何か手がかり増えれば、
それはそれでいいじゃないですか」

文句を言うと、恐怖なら撃ってあげますし。って続けられた。そういう問題か。