見えないモノと、指の銃。


背中につけていた男は、
いつのまにやら居なくなっているから、目を背けなくていい。

空いていた隣の席に座った彼の話を聞く事にした。



「それってのろい動画のチェンメの話だろ?」

確認を取ってから、彼は話し始めた。


「あれは、どこかの学生が作った物で、
まったくの作り物なんだ。
動画に何か違和感を感じなかった?
逃げている所とか……」

なんとなく、同意しないと話が進まなそうだから、頷いた。


「それはね、逆再生になっているからだよ」

逃げ切ったと思う所は、
本当は最初の、追いかけはじめられた時。

だから逃げ始めに見せかけた、
あの振り向いた時の表情は、
あんなにも恐怖感に溢れているんだと。


「まあ、動画に関しては、
あの人演技上手いね、で済むんだけど、
問題は、メールが広まった後なんだ」