「殺害されたのは、ハシヅメテッペイさん、38歳。

『橋爪クリニック』の院長…」

遺体の持ち主を読みあげたアナウンサーに、僕は思わず手を止めた。

ハシヅメ?

『橋爪クリニック』?

聞いたことのある2つの言葉に、僕は耳を疑った。

「蓮ちゃん、どうしたの?」

僕の様子に、水萌が心配そうに顔を覗き込んできた。

『橋爪クリニック』と言えば、姉の部屋のゴミ箱で見かけたあの袋に書いてあった。

「蓮ちゃん、何かあったの?」

「…あの、さ」

ここは話すべきかどうか悩んだ。