「何ですか?

姉に何か用事ですか?」

特に動じた様子もなく、蓮ちゃんは淡々と答えた。

「用がないんでしたらさっさと帰ってください。

ここにいても困るだけなんで」

フンと蓮ちゃんは中條から視線を外すと、
「ほら、行くぞ」

わたしの腕を引っ張って階段をのぼった。

わたしは中條に視線を向けた。

怪しく光る瞳は獲物を狙う肉食獣みたいで、今にも飛びかかってきそうだ。

それが怖くて、わたしは目をそらさずにいられなかった。