みんな、いつの間に出て行ったの?

出て行くのが早過ぎるよ…。

「でも、いつ誰がきてもおかしくないから仕方ないだろうな」

フフッと笑った中條に感じたのは、躰の芯まで凍りついてしまうのではないかと思うくらいの悪寒だった。

「あの…わたし、そろそろ…」

「帰らせるつもりはないよ?」

えっ…。

そう言った中條に、わたしは言葉が出てこなかった。

「今日の夜、もちろん会いにきてくれるよね?

今日は黎が楽しみにしてたデートの日なんだから、会えないってことはないでしょ?」

中條が笑いながら言った。

…初耳だった。